国立大学法人 電気通信大学 榎木研究室

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活動の報告

【研究室見学ツアー】
東京農工大学 秋澤淳研究室

榎木研究室として初めての研究室ツアーを,9月27日(火)に東京農工大学の秋澤淳研究室の見学として開催しました.
榎木研究室に9月27日の時点で在籍している学生は,強制なく全員が参加希望したことで,私はやはりこのような実体験に基づく教育を学生達はコロナ禍で望んでいるのではないかと感じました.
自分達がやっている研究がどれほど,社会に役にたつのかは,体験しないと分かりません.

このような機会を設けるのにはそこそこの骨を折る作業が生じますが,学会が開催している見学ツアー,特に冷凍空調学会の若手交流会は重要な意味を持つのではないかと改めて考えました.

秋澤淳研究室HP
https://web.tuat.ac.jp/~akilab/

日本冷凍空調学会HP
https://jsrae.or.jp/

話しを農工大見学に戻し,ちょうど10年弱前に,私が学位を取って直ぐに着任した研究室で,その当時の体験は今も活かされて研究遂行しています.
秋澤研で助教として勤務している間に,吸収冷凍機と吸着冷凍機の勉強および研究をして今に至ります.
そういう意味で私は秋澤研で九州大学時代とは違った研究遂行方法を学んで,ゴールは同じでもアプローチの仕方の違いを秋澤先生から教えていただきました.
また,同時にお金のない助教時代に,秋澤先生の大事な会議にお呼びいただいて同席させてもらう事で,実力を持ってしてどのように資金を獲得するのかの学びの場を設けてくださった方です.
任期付助教でしたので,私が1年9ヶ月で今の電気通信大学へ行ったわけですが,異動した後もNEDOプロジェクトや本の執筆活動等のお仕事をご一緒して,プライベートでもお付き合いのある数少ない恩師です.

今回の榎木研初の研究室見学ツアーを農工大で実施した背景はこれらのことがあり,そしてカーボンニュートラルを先駆けて多くなっている数少ない国立大学の1つだからです.
東京農工大学は秋澤先生がいらっしゃるので,エリプスという建設されて10年は経つ,ZEB化や太陽熱エネルギーを利用した建物があります.
空調システムには,太陽熱を利用した吸着冷凍機と,湿度調整を行うデシカント空調があり,時代の先端を走ってきて今があるのだなぁと,改めて秋澤先生へ感服いたしました.
そしてエリプスとは別の講義棟では,氷蓄熱をした建物があり,この講義棟1階を蓄熱のための施設にしただけで,3つほどの建物の冷房運転を行っています.

学生達のほとんどは,熱交換器や蓄熱技術,熱交換について研究はしているものの,自動車以外で実際に応用されている所は見たことがありません.
研究室全員がとても興味をもって見てくれていたことは教員としてやりがいがありました.
しかし,それ以前に,農工大の施設課などに連絡をして調整してくださった秋澤先生には,熱駆動のヒートポンプの重要性に関する研究の重要さを学生全員にご講義いただき,この日のために多くの時間を割いてくださったという,教育者としての姿勢を語らずに見せてくださいました.

秋澤先生との何気ない会話の中で,
「今後のZEB化は太陽熱を利用せずには成り立たない」
とのお言葉が,私の心に深く残りました.

太陽は地球上に差別無く降り注ぐエネルギーです.
これまで何故人間は,その存在を無視しづけたのでしょうか.(南極付近は別として)
化石燃料は燃やせば最終的に熱になります.そして枯渇問題も抱えて外交の道具にまでなっています.また化石燃料の半分は,大気中に捨てられているので非常に勿体ない.
太陽熱エネルギーは利用し終えても,元から地球へ降り注いでいるエネルギーなので,これこそエネルギー収支がゼロになる本物のカーボンニュートラルとなりうるエネルギーです.

太陽エネルギー学会
https://www.jses-solar.jp/

氷蓄熱槽

氷蓄熱槽の内部 伝熱管が張り巡らされていて,一部まだ氷として存在している

氷蓄熱槽とブラインの熱交換器 放射温度計でマイナス2℃
(私の感想:ちょっと前まではこれらの張り巡らされた配管の意味が全く理解できなかったが,恥ずかしながら今になってようやく全てが理解できるようになった)

氷蓄熱槽を有する講義棟

秋澤先生と榎木研の集合写真

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