国立大学法人 電気通信大学 榎木研究室

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活動の報告

熱交換器をCTスキャンし高精度でシミュレーション解析

現在、当研究室では、熱交換器の性能向上を目指す研究を行っています。特に、金属繊維多孔質体を空気側のフィンとして取り入れることで熱交換性能を向上させる可能性に関心を寄せ、詳細な研究を進行中です。
我々はこれまでに、研究室内で実施した風洞実験により、金属多孔質フィンを使用することで空気側の熱交換性能が大幅に向上することを実証してきました。

実験結果から明らかなように、低温度差(dT = 10°C)の条件下で、金属多孔質フィンは従来のコルゲートフィンタイプに比べて2倍の性能向上を達成することが確認されました。

ただし、金属多孔質フィンの温度分布や内部流体の挙動、温度変化などに関する詳細な情報は、実験による計測が難しく、このフィンがなぜ2倍ものエネルギー交換を可能にするのかというメカニズムについては、未解明の点が多く存在しています。

そこで、我々は医療分野で広く使用されているCTスキャン(Computed Tomography)技術を使って、金属多孔質フィンを有する伝熱管の内部構造を非破壊的に観察してみました。
CTスキャンによって内部構造を画像化し、さらにその画像データを数値シミュレーションソフト内に取り入れることで、数値シミュレーションが可能となります。

また、実験で使用した伝熱管がそのままCTスキャンによって詳細な画像としてデータ化されるため、実験結果と数値シミュレーション結果を、同等な条件下で比較・検証することが可能です。
以下に、実験に使用した伝熱管とそのCTスキャン画像との比較図を示します。

数値解析した流体の流れと温度変化の様子を可視化した動画の一例


*掲載した画像や映像の著作権は榎木研究室にあります。

これらの研究成果は、2023年度日本冷凍空調学会 年次大会にて発表いたします。
タイトル:金属焼結繊維状多孔質体を用いた管外フィンのシミュレーション解析
著者:夏村 航太朗,望月 建志,福井 紀彰,武内 知也,榎木 光治

謝辞
この研究の成果を得るにあたり、三菱マテリアル株式会社の多大なご協力に深く感謝申し上げます。

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