国立大学法人 電気通信大学 榎木研究室

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活動の報告

風洞実験(学生実験講義映像)

投稿:榎木

学部3年生の必修科目に、学生実験があり全 12 テーマあります。
その1つのテーマである風洞実験を担当しています。

風洞実験は流体の可視化ができるため、非常に面白く興味深い内容です。そこで、講義中に取得した実験映像を一部公開します。
また本学の学生はレポートを提出する際に以下の解説を参考にし、何となくこのサイトにたどり着いてご覧くださっている方は科学を楽しむ材料としてくだされば幸いです。

風洞で可視化する対象物は以下の通りです。

● 円柱(例えば、身の回りであれば、電線や橋のワイヤー、そして煙突など)
● 角柱(ビルなど)
● 流線形状(少し構造が違いますが、飛行機の翼など)
● 自動車

流体の流れを観察する上で重要なポイントを挙げるとすれば2点あり,流れのはく離点と(物体に沿っている流体流れがはく離する場所)、そのはく離によって生じる渦の挙動です。
紹介する動画では、カルマン渦と名のついた渦がきれいに撮影されています。カルマン渦は、寒い時期に北風が吹くとピューピューと音が発生する原因であり、送電線やワイヤーなどを通過する流体現象によって生じる音です。また、高層ビルでは揺れの原因になるものです。ビル酔いをする原因の一因として、カルマン渦が周期性を持っている…(要考察)
カルマン渦の周期性を利用した流量計も存在します。国旗などの旗がくねくねとなびくのも、このカルマン渦によるものです。
さらに、円形であるため、サッカーや野球のボール競技についてもこの可視化実験から簡単な考察ができます。例えば、無回転ボールの不規則な動きは、空中を飛行するため、可視化で使用したような何かに固定されている時と違い渦の影響を違った形で受けることになります。この風洞実験からスポーツで利用される無回転ボールの挙動について、そのメカニズムを流体力学の観点から検討すると面白いと思います。

このように非常に身近な流体現象であるカルマン渦ですが、地球や宇宙規模でも観察されます。
木星は渦を巻いた見た目をしていますが、これも一部はカルマン渦です。
また、韓国の沖縄県に相当する済州島は、島の中心部に高い山があり、そこに北風が吹くと下流側になる日本海にカルマン渦が形成されて雲として気象衛星で観察することができます。

そして渦が発生するということは、エネルギー損失が生じていることになります。台風も渦です。なぜ台風は上陸すると勢力が弱まる(エネルギー損失をする)のでしょうか、その原因の一部として考えられるのは、木や建物の後方には…(要考察)

流線型の模型で、かつ流体の流れに平行な向きで設置した場合のみ流れの乱れが生じていません(下部に掲載している流線型その1に該当)。
流線型でも迎角を大きく変化させると、下流で流れの乱れが非常に大きくなります。飛行機が着陸する際には、このように迎角を変化させることで、流体抵抗としてブレーキの役割をします(下部に掲載している流線型その3に該当)。

この流体のブレーキは自動車の最高速度を決める要因にもなります。つまり、流体力学的考察で検討すれば自動車のエンジンの出力と流体による力が…(要考察)そして自動車の燃費を左右することになるでしょう。
また、スポーツカーやF1などのリアスポイラーは、ダウンフォースを産み出すために設置されますが、この風洞実験からどのように設置(設計)すれば良いでしょうか。

流体や熱といった、人の目では観察しにくいものが観察できるようになる技術、つまり可視化をするということは、物理現象を理解することに大いに役立ちます。
本学の学部生だけでなく、「可視化」の楽しさを1人でも多く伝えることができればと、今回は記事にしてみました。

    注意:

以下に掲載する動画を個人レベルで楽しんでもらえるのは嬉しいことです。しかし、無断転載など著作権に十分にご注意ください。
動画の転載や営利目的で使用を希望される場合、動画をプレゼン資料などで使用する場合は、念のために榎木までお問い合わせください。
国立大学であり教育目的に撮影したもので、この動画で利益を得るなどの意図は全くありませんので、お気軽に問い合わせください。

円柱 ↓↓

角柱 その1 ↓↓

角柱 その2 物体の角度を変化させている ↓↓

流線型 その1 この可視化実験では唯一、流れのはく離点がなく、カルマン渦が観察されない映像 ↓↓

流線型 その2 物体の角度を変化させている ↓↓

流線型 その3 物体の角度を変化させている ↓↓

自動車 ↓↓

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