【実証実験成功】ニセコでの積雪発電について
注:2025年に実施した最新の情報については,ここをクリック してください.
2024年1月17日(水)、ニセコ東急 グラン・ヒラフスキー場での積雪発電実証実験が成功しました!
追記2024年3月8日:約100Wの出力増加について、温度20℃から60℃に昇温するのと、0℃から60℃に昇温する必要なエネルギーの差分は20Wなので、約80Wが冷熱の効果です。現在、詳細に検証中で速報値。
融雪している動画
この成果は、東急不動産および青森のスタートアップ企業・フォルテとの共同研究によるものです。
東急不動産の担当者の方々からの幅広いサポートがあり、18日のマスメディア公開で広く知られる機会となりました。
今回の実証実験では、再生可能エネルギーである北海道産のバイオマスチップを燃焼して高温熱源とし、低温熱源には積雪を利用しています。
この実証実験により、積雪によっておおよそ1,200 W強の電力を数時間にわたり安定して供給でき、さらに屋根や道路の融雪が可能であることを確認しました。
今後、24時間の連続発電が可能となれば、発電量はおよそ4 世帯分(30A契約・月230 kWh/1世帯)を賄える計算になります。
プロジェクトにおいて本学は研究開発であり、榎木が研究開発担当の責任者として素案を提案し、そのアイディアを元に本研究室の学生達と役割分担をしてディスカッションを重ねて練り込んだ上で、改善策や現地での役割分担をすることで実現しました。
さらに、急遽1ヶ月前から東急不動産の白倉様や塚原様と直接連絡ができるようになりプロジェクトが、非常に良い方向へ改善していきました。
このプロジェクトは本研究室の結束力を向上させることになり、特に多くの社会人の方々と学生達が全力で取り組んむ貴重な体験となりました。
修士学生の武内知也君、福井紀彰君、望月建志君、学部生の小糸海璃君、高橋芳晨君、中野颯士君が実際にニセコに赴き、数値シミュレーションの実施や実験装置の制作に取り組みました。また、夏村航太朗君は、他の研究案件のストップを防ぐために設計を担当し、大学でのバックアップも行いました。
全ての学生が日常の研究活動を通じて技術を習得していたことが、このプロジェクトの成功に大いに貢献しました。加えて、本研究室で受託研究員をしている大内崇史さんも数値シミュレーション解析への助言や回路設計を、本業があるにもかかわらず、私や学生達からの問合せに真摯に回答してくださいました。
榎木はマスメディア公開終了後に大学業務のために東京に戻りましたが、東急不動産の協力を得て、学生と共にデータ収集および学術的な検証作業を進行中です。
現時点で明らかになっていることは、低温熱源が雪で冷却されている場合と、20 ℃程度の水を用いている場合とでは、発電能力に差が出ることであり、雪で冷却した場合には発電能力が約100 Wほど向上することが確認されています。
この独立型発電システムは、雪による停電災害に対して強力であり、冬季に身近にある雪を活用して電力を供給しながら融雪も行うという、新しい技術の第一歩となります。
このシステムにより、水素を用いた燃料電池とのハイブリッド方式の発電方法が可能となり、さらに蓄電池を利用してエコ給湯を導入することで、6 kWのバイオマスボイラーからの投入エネルギーを超える12 kW以上の熱源を取得できるようになり、1日あたり60 ℃の温水を1トン以上供給できます。
作られた温水は、床暖房やお風呂など、日常生活に幅広く活用でき、電気代の節約にも貢献します。また、太陽光パネルの積雪による破損も融雪によって解決できるため、冬場でも太陽光パネルの利用が可能となります。
この成果は多くのメディアで取り上げられており、興味を持たれた方は「積雪発電」で検索しいただければ幸いです。
※これは厳密には温度差発電です。しかしバイナリー発電とは違う方式です。スターリングエンジンなので、熱力学的に一番効率の良いカルノーサイクルを用いています。サイクルを維持するためには熱エネルギーを廃棄する低温熱源が必要です。この廃棄する熱エネルギーの場所を積雪している場所に利用することにより、融雪をすることができることを特徴としています。また,温度差を多く取れることから発電効率の向上に寄与しています。
温度差が大きければ大きいほど,電気エネルギーを産み出す能力は向上します。そこで、高温熱源に、バイオマスチップ、太陽熱、地熱、水素などの再生可能エネルギーを使用することで、脱炭素社会を加速させる目的で、本研究を実施しています。
また、積雪の量に依存する発電方法であれば、太陽光パネルと同様に出力の変動が大きくなります。それを避けるためには、汎用性の高い発電方法を検討する必要があり、大雪だろうと少量の雪だろうと、低い温度があることで発電効率を向上させて、暖を取る方法や融雪の手間を省く技術としてまずは検証実験をしています。
屋根融雪を実証した写真
榎木の右手側が融雪技術を用いた箇所、左手側は比較のために屋根を剥き出しにしている状態
榎木の手が赤くなっていることで、どれほど寒冷な環境で実験をしていて、雪を溶かしたかということが理解出来るかと思います。
参照:時事通信社
(時事通信社の千葉佳奈子様にお写真を撮ってもらいました)
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